"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
「恭平さん、会見の事を真琴には?」

「正直迷っています。真琴は知っておくべきだということは、十分理解しているんです。ですが、万全ではない今の体調で、精神的に負担をかけたくない気持ちが優先してしまっています」

「真琴には、私から話をさせてもらえませんか?」

「それは構いませんが……」

「ありがとう、恭平さん」

「恭平、そろそろ直子さんを真琴さんのところに連れて行ってさしあげて」

「では、お義母さん、行きましょうか。僕は会社に戻らなければならないので、宝来が案内します」
 
側に控えていた宝来が直子に会釈をする。

「宝来さん、よろしくお願いします」

「かしこまりました。参りましょう」

「スエさん、美味しいお茶をご馳走様でした」

スエに向かい、丁寧にお辞儀をする。

その姿が真琴と被って見えた。
真琴の礼儀正しさと、醸し出す美しさは、紛れもなく直子譲りなのだなと、恭平は胸を熱くした。
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