"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
「彼女は母方の従妹だ。高御堂一族はどこも男兄弟ばかりで女の子がいなかったんだ。初めての女の子に親戚一同が喜び、皆が彼女を可愛がった。叱るも者もなく、わがままに育ってしまった。大きくなったら俺と結婚する約束をしたと言い張っているが、そんな約束をした覚えはない。だが、雪乃(ゆきの)は俺の嫁だと、事あるごとにまとわりついていた。幼い頃は可愛かったんだが………俺と関わる女性を排除するようになった」

「だから、あの時私を……」

「そうだ、突き飛ばした。宝来もいてくれたんだが……」

「もしかして、宝来さんがあの場から離れなかったのは、彼女を警戒していたからですか⁉︎」

「ああ、そうだ。だが、結局君を傷つけてしまった。本当に申し訳ない」

「そういえば、今日は宝来さんを見かけませんが」

「宝来は雪乃を監視している」

「え!」

「もう、君を傷つけたくはないからね。さすがの雪乃も会社にいれば手出しはできない。だが、一歩外へ出れば話は別だ。俺は、邪魔されずに、君と話したかった」

「専務……」

彼の放つあの圧迫感と冷眼は、警戒心からきているものなのだろうか。もし、そうだとしたら、気の毒としか言いようがない。
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