地味系男子が本気を出したら。
お姉さんとの直接的な関係は大きく変わってないのかもしれないけど、桃のお姉さんに対する印象が変わったのはすごく嬉しいなと思った。
「桃の相手の良さを知っていいなって思えるところ、すごく好きだよ」
「……はぁっ!?」
あ、真っ赤になった。
めちゃくちゃかわいい。
「照れるところもかわいいよね」
「〜っ!あなたはなんでそういうことをサラッと言えるのよ!?
前はそんなんじゃなかったわ!」
「桃が変えてくれたんじゃない?
ちゃんと言わないと伝わらないと思って」
「…っ!!」
言わなきゃ伝わらないのもあるけど、言わずにいられないっていうのもあるんだよね。
だって本当にどんどん好きになっちゃうから。
気持ちが溢れて仕方ないんだよ。
「もうっ!そろそろ次のバンド見に行きましょ!」
顔を赤らめながら立ち上がる桃もかわいいなぁと思いながら、僕も立ち上がろうとして、突然Tシャツの裾を掴まれた。
裾を掴んでいたのは、小学校低学年くらいの男の子だった。
もちろん知らない子だ。
「僕、どうしたの?」
「うわあああああんっ!パパああああああ!!」
その子は急に大声をあげて泣き出す。
どうやら迷子みたい。