地味系男子が本気を出したら。


* * *


それから蜜柑ちゃんが落ち着くのを待って、またフリマ巡りをした。
蜜柑ちゃんは何か吹っ切れたのか、子どもみたいにはしゃいでいた。

蜜柑ちゃんの笑顔が戻って、本当によかった。


「大ちゃん、今日はありがとう」

「ううん、また遊ぼうね」

「うん!それから…桃乃さん」


蜜柑ちゃんは桃のことを真っ直ぐ見て、頭を下げた。


「ごめんなさい!それからありがとう…蜜柑のことかばってくれて」

「いいえ、モデルのお仕事、これからも頑張ってね」

「桃乃さん…いや、桃乃お姉さまって呼んでもいい!?」

「えっ!?ええ…」


急に蜜柑ちゃんはキラキラした瞳で桃のことを見つめる。


「蜜柑、感動しちゃった!蜜柑も桃乃お姉さまみたいな美人でカッコいい女になるの!」

「そ、そう…?ありがとう」

「それじゃあね!また蜜柑と遊んでね!」


迎えに来たおばさんとともに、蜜柑ちゃんは晴れやかな表情で帰って行った。


「…なんかよくわからないけど、懐かれたのかしら?」

「そうみたいだね」


何はともあれ、一件落着かな?
僕は蜜柑ちゃんを見送った後、桃を送っていくことにした。


「本当に今日はありがとう。蜜柑ちゃん喜んでたし、あの時の桃はほんとにカッコよかったよ」

「…私も、ひどいことしたなと思って」


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