地味系男子が本気を出したら。


「お邪魔しました。ありがとうございました」

「とても楽しかったです。ありがとうございました」

「また遊びに来てね!二人とも、送って行きましょうか?桃乃ちゃんは荷物が大変でしょ?」


蒼永くんのお母さんはそう言ってくれたけど、春日井さんは丁寧に断った。


「いいえ、大丈夫です。こんなに高価なものいただいて、ありがとうございます」

「いいのよ〜。蒼永が友達を連れて来ることなんてなかったから、おじいちゃんも張り切っちゃったの」

「僕も、ありがとうございます」

「桃ちゃん、大志くん気をつけてね〜」

「バイバイ」

「…咲玖は帰らないの?」

「うん、泊まってく。いつもサンタさん、蒼永ん家にプレゼント届けてくれるから」

「…そう。じゃあね」


そうして僕たちは九竜家を後にした。

帰り道、春日井さんと二人きり。
でも会話がない。


「あの春日井さん、ミキサー持とうか?」


思い切って話しかけてみたけど。


「大丈夫よ」

「そっか…」


会話が終わってしまった。

こんな時、さっちゃんみたく楽しくおしゃべりできたらいいんだけど…根が人見知りのせいで上手く話題が見つけられないんだよね……。

ふと、気になっていた疑問が浮かんだ。


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