地味系男子が本気を出したら。


「…別にいいと思うけど、なんで俺に聞くの?」

「だってお店のこと知らないし!蒼永くんからお願いしてもらった方が話が早いかと思って」


蒼永くんはちょっと間を開けて、こう言った。


「だったら咲玖に聞いて。
咲玖経由で予約取ってもらったら、サービスしてくれるかも」

「え、いいの?」

「俺が言うより、咲玖から言ってもらった方がいい」


…未来の娘の頼みは断れない的なことかな?


「あと、父さんの店の住所知らないんだよね…」

「えっそうなの?お父さんに髪切ってもらわないんだ?」

「うーん…」


何となく歯切れが悪かったので、それ以上は突っ込まないことにした。
とにかく、さっちゃんにお願いしてみたら取り次いでくれそう。


「ありがとう、蒼永くん」 

「ううん」

「また連絡するね」

「うん、また」


その後さっちゃんに頼んでみたら、すぐに蒼永くんのお母さんに話を通してくれた。
快くOKしてくれ、中学生料金で安くしてくれる上に、ヘッドスパのサービスまでしてくれるとのこと。


「いいなぁ、私もまだ切ってもらったことないんだよ」

「そう言われると…、僕なんかいいのかな?」

「いいに決まってるよー!蒼永パパによろしく伝えてね!」


そしてその週末、初めて都心のオシャレなサロンに行くことになった。
今の自分を変えるため、少しでも自分に自信をつけるために。

少しでも、君に似合う男に近づけるように。


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