婚活
リーマンのスーツ姿に憧れて、とにかくいい男系の多い会社に入社を希望。就活の時も、大学のファイルを見ながら自分や周りが知ってるイケメンOBが就職している会社を徹底的にピックアップ。

でもハイレベルな会社はことごとく落ちたが、そこそこ上場企業の資本金億単位の会社には引っ掛かって事なきを得た。

だけどねぇ……。

右を見ても左を見ても、ドラム缶体型のメタボな出っ腹。薄毛バーコードの脂ギッシュなオヤジばかり。とてもナイスミドルにはほど遠く、若手は若手で、もう売約済みだったり、見るからに軽い遊び人だったりで、同期の男子もパッとしなかったし。

まぁ、そんな私も自分の事は置いとく主義だから、利己中、甚だしいんだけれども……。

大事に封筒を抱えて、家に帰る。
「あらっ、 お帰り」

「ただいま」

「ご飯は?」

「う~ん……おかずだけ食べようかな? 今、着替えてくる」

実家の有り難みは、家に帰って明かりが付いてる事。独り暮らしの由佳が、しみじみ言っていた。

人気のないシーンとした真っ暗な部屋に帰るのは、やっぱり寂しいものだって。そんな暮らしで一生を終えるのは、ちょっと侘びしいよね。

由佳の何気ないひと言が発端で、とんとん拍子にあれよ、あれよという間に結婚相談所に 行っていた感じだった。

夕飯の食材の匂いがしてる……。

よく芸能人が、結婚会見で言ってる。温かい家庭を築きたいですって。築いて見せましょう、私もね。

ポンッと封筒をパソコンの隣りに置き、まずは腹ごなし。階段を駆け下り、ダイニングテーブルに座ると、おかずが出てきた。

「そのぐらい、自分で用意させろよ。上げ膳据え膳が当たり前になってんだから、姉貴は」

「うるさい! 小姑みたいな事、言うでない」

まったく弟の裕樹ときたら、小姑のように口うるさい。

「姉貴のためを思って、心優しき弟が言ってやってるのに」

「大きなお世話ヤキだよ。アンタ男のくせに細かすぎ。ホントにO型?実は、橋の下で拾われてきたんじゃないのぉ?」

同じO型なのに、大違いだよ。

「だから俺だけカッコイイし、頭も姉貴よりいいのか……う~ん、納得」

ああ言えば、こう言うし……。

私は、根っからの大雑把なO型

「ご馳走様。お母さん、今日も上手かった」

「姉貴、上手かったじゃねぇだろ。美味しゅうございましたと言え」

ウザい……。
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