婚活
不器用な心(2)
「白石だけが、男じゃないでしょ?」
「うん。そうなんだけどね……。何か、私から別れを切り出しといて本当に往生際が悪いというか、自分でもこんなに引きずるとは思わなかったよ」
由佳のメールに返事をして何処に行っても混んでいるからと、今日は彼氏も帰ってこないらしいので由佳の家にお邪魔していた。
「我が儘過ぎるし、勝手だって自分でも思ってる。素直じゃないし……」
「あのね、珠美。あの時、素直になれたら……なんて歌の歌詞みたいに後悔するのは当たり前なんだって」
由佳。
「素直に何でもバンバン言えたら苦労はしないって。それこそ、子供じゃないんだから思った事全部を口に出来るわけないでしょ?思った事を口に出来たら出来たで、今度は言うんじゃなかったとか、それはそれでまた後悔するんだから」
由佳の言う事は、いつも的を射ていてストレートに胸の奥にズンと来る。
「幼なじみなんて、やっぱり身近に居るお前が一番だ!とか、安っぽいドラマとか漫画にでもありがちなストーリーだけど、ダークな考え方をすれば手っ取り早いから、身近なあんたでいいわ……だとか、物心付いたら傍にいてくれたのに、気付かなくてごめんねバージョンばかり。その程度のレベル内容でしょ?辛口評論すれば視野が狭い。でも一番気心知れてるから、安心出来るから手っ取り早いという安易な選択肢の一つでもあるわよね。白石と珠美の場合は当人達は違うと思っていても、傍から見れば同類よ」
「意地悪して言ってるわけじゃないの、珠美。白石だけが男じゃないって事。もっといろんな男を見て……あっ、決して悪いけど朋美みたいに遊べと言ってるわけじゃないのよ?もっと男を見極める目を持って欲しいの。それで……矛盾してるかもしれないけど、それでも白石がやっぱりいいと思ったら、白石みたいな男が珠美のタイプだって事でしょ?」
「由佳。私……」
和磨が自分のタイプなのかどうかも正直なところ、わかっていなかった。和磨の事が好きだと気付いた時から、和磨と付き合い出したというか……。
「珠美の前の彼氏。あれは、白石とは全然タイプ違ったよね?」
「うん」
確かに前の彼氏は、全然、和磨とは違うタイプの男だった。
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