君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 原田取締役のお父様は某銀行の頭取。
 ウチのメインバンクだ。

 いずれ、原田取締役も銀行に戻るだろう。
 出向のような形で来ていると聞いている。

 皐月はいずれ戻る原田取締役の秘書になったときから、絶対に付いていかないと言っていた。
 業界が違うので、やはり勝手が違うだろうし、彼女と離れるのは私も寂しかったので、大賛成だった。

 突然、社長が入ってきた。

 「古川さん、会議室に私も入りたいので、弘にメモを入れてくれ」

 「わかりました」

 言われたとおり、メモを入れると一読した弘取締役がわかったと私に告げた。 
< 146 / 274 >

この作品をシェア

pagetop