君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 「お父さん。何かあれば解任してください。その覚悟は出来ています」

 「彼女が自殺未遂をしたのはもう十年以上前の話だ。しかも、彼女は現在石井専務の妻だろう。彼女が記事のでどころの可能性もあるが、自分の過去をあからさまにするのはかなり辛いはず。石井がやったことかはまだわからん。彼女を守るなら、記事を止めるはずだしな」
 
 「……」

 「問題はあることないこと書かれることだ。イメージが悪くなると、入札した仕事にも支障が出るかも知れない。お前が先頭に立って計画している事業だしな」
 
 「明日はどうしましょう。出社すると迷惑になります」

 「ただ、取引先からの連絡も増えるはず。きっとことの次第をお前に直に確認するだろう。雲隠れすれば逆に記事を認めたと思われる可能性がある」
 
 「わかりました。明日は出社して対応します」
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