君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 「それは……伝わっていました」
 
 「実はね、業界説明会の時に話があったんだが、この業界大手三グループで公開入札がある予定だ。ウチと堂本も参加する。大きい額でね。数年のプロジェクトになる。入札できればグループとしても大きな利益だ」
 
 「そうだったんですか」
 
 「僕は、父や兄から今回のことを依頼されている。営業一課が担当だが、陣頭指揮は僕が執る。そうそう、君の元カレは非常に優秀な営業だ。カレにも参加してもらう予定だよ」
 
 私は怖くなって顔色が変わった。
 
 「大丈夫だよ。何もしない。とにかく、これから堂本と一騎打ちだ。実質この二グループの争いなのは目に見えている。そこでだ。そんな会社のトップと君が付き合うなんて、許されるとでも思ったかい?知れたらインサイダーの疑いも持たれて君も破滅だよ。匠さんにとってもいいことなんて何もない。あ、君からこちらの情報を得ることができるからそういうところはいいと思ってるかな?」
 
 「……やめて!匠さんはそんなこと考えていない。私もしない。信用してください」
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