君がたとえあいつの秘書でも離さない
 「ダメだぞ、次は俺の番だからな」

 そうやって、バカップルのようにピザを食べっこして、スープを飲む。
 さっきの怖い雰囲気はどこかへ行ってしまった。
 
 「何を考えてる?俺以外を考える余裕がある?まだ足りないのか?」

 二週間ぶりの彼は、ソファで私にキスしながら抱きしめている。
 クラクラする。だけど、不安なの。
 彼の手が背中をさすっていたが、その手が今度はブラウスの下にはいりそう。
 せわしなく動き出した。

 彼の顔をじっと見る。
 夢中になっている彼は気づかない。

 私は彼の顔を両手で挟んで囲った。
 彼は、私をじっと見つめ返した。
 そしてキスをする。
 
 「大丈夫だ。何も心配いらない。遙の考えていることはなんとなくわかる。公私は別。今は完全なプライベート。そうだろ?」
 
 そう言うと、私を倒して覆い被さる。
 もう、だめだ。彼の術中にはまった。

 「さあ、遙。違う匂いはシャワーで落としたな。これから綺麗になるまで消毒しよう。二度と他の奴が触れないようにきちんともう一度印をつけてやる。俺の匂いだけにして帰るんだぞ」

 これで、今日も明け方帰ることになるだろう。
 
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