【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第123話】

8月4日の午前10時過ぎのことであった。

場所は、あいつの家にて…

この時、工場の社長さんが家にやって来た。

社長さんは、あいつの父親に借金の保証人のお願いをした。

この日、社長さんは従業員さんの引き止めに失敗したのでものすごく困っていた。

社長さんは、従業員さんたちに対して『福利厚生の特典を使っていなかったので…』と言うて、社員旅行やプロ野球観戦などの社内行事をしますと伝えた。

従業員さんたちは、社長さんは大うそつきだから信用できないと言うて怒っていた。

従業員さんたちの不満が日増しに高まるにつれて、社長さんはひどくコンパイした。

社長さんのドラ息子が起こしたもめ事の示談金の支払いが全体の1割しかできてない…

工場を開業した折りに出資をして下さったみなさまに支払う配当金に必要な資金がまだ用意できてない…

…で、やりくりできなくなった。

社長さんは、あいつの父親に借金の保証人のお願いした。

しかし、あいつの父親はものすごくイヤな表情を浮かべていた。

社長さんは、ものすごくつらい声であいつの父親に保証人になってくれとたのんだ。

「なあ、頼むよこの通りだ!!ワシの借金の保証人になってくれ…ワシを助けてくれ…従業員さんの引き留めに失敗した…従業員さんたちをひとりでも多く引き留めるためには、大金がいるのだよ…この通り…助けてくれ…親友が困っているのだよ…」
「あのな…今のワシはあんたを助ける余力はないのだよ…大金がいる大金がいる大金がいる…理由は従業員さんたちをひとりでも多く引き留めたいからと言うけど…キサマは本当に従業員さんたちのことを考えているのか!?」
「何だよ、ワシがいいかげんな人間に見えるのかよ…ワシは真剣になって従業員さんたちが気持ちよく働けるようにと取り組んでるのだよ…ワシは酒をやめた…パチンコもやめた…こと遊びごとについてはみーんながまんしたのだぞ!!…信じてくれ…なあ…親友だろ…親友が困っているのだよ…」
「もうキサマのセリフは聞きあきた…かずひこが専門学校に行くことが決まったとたんにオドレが泣きながらワシのところへ来て『セガレが起こしたもめ事を解決するための示談金が必要だ…』と言うた!!だからワシはかずひこの入学金に取っておいたお金と家の貯金の一部をユウヅウしたのだぞ!!そのおカネはふみたおすんだね!!」
「返すよぉ…本当に返すよ…」
「保証人を引き受けてくれと言うのであれば、あの時のカネを耳をそろえて返してからにしろ!!他にもキサマは悪いことをたくさんしているからその分も含めて全部返してもらうゾ!!」
「分かっているよ…だけど…ワシを急かさないでくれ…すぐには用意できない理由があるのだよ…」
「どんな理由があってもダメだ!!キサマにあの時ワシの気持ちが分かってたまるか!?かずひこが専門学校に行けなくなった原因を作っておいてひとこともわびないキサマは、チンピラ以下の虫ケラだ!!帰れ!!」

あいつの父親からどぎつい声で攻撃された社長さんは、家から出たあとトボトボと歩いて帰った。

この時、あいつの姉《おねえ》が帰宅した。

その時であった。

アイツの姉《おねえ》は、近所の奥さまに呼び止められた。

近所の奥さまは、あいつの姉《おねえ》に対して怒った声で言うた。

「かよこさん、ちょっといいかしら?」
「あら、奥さま…」
「ちょっと言いにくい話だけどかまん?」
「あら、何のお話でございますか?」
「おたくの洗濯物のことで、気になることがあるから聞くけど…」
「それはどういうことでしょうか?」
「例のブラジャーはあんたの娘さんの物よね…金具が大きく破損した上に、泥がついたあとがあったけど…」
「えっ?うちの娘のブラジャーの金具が破損していた上にどろがついていたって?…その話はどこから入ったのですか?」
「2軒となりのN山さんが言うてたわよ。」
「N山さんの奥さまが言うたって?…あのー、それは聞き間違いではないでしょうか?」
「本当にN山さんの奥さまが言うていたわよ。」
「N山さんの奥さまの言うことは信用できません!!コンキョのない言いがかりをつけるなんてサイテーよ!!」
「それはうちが言うセリフよ!!」
「奥さま!!あなたはうちの娘のお見合いにケチをつけたから許さないわよ!!」
「ええそうよ!!あんたの娘のお見合いに文句があるからボロクソにつけるわよ!!あんたにケーコクしておくけど、さよこさんにすすめたお見合い相手と今すぐに別れた方がいいわよ!!あの男は、女がグセがものすごく悪いみたいよ!!…はよした方がいいわよ…あんたの娘のお見合い相手は兄嫁さんといやたい(いやらしい)関係を持っていると言うウワサがあるのよ…それでも娘の結婚を強行させると言うのね!!」
「やめて下さい!!もうやめて下さい!!」
「わかったわよ!!それじゃあやめておくわよ!!アタシが言うたことは本当よ!!手遅れになる前に手を打たないと、あんたの娘はいつか殺されるわよ〜」

奥さまは、あいつの姉《おねえ》にものすごくおそろしい声でイカクしたあとその場から立ち去った。

あいつの姉《おねえ》は、力がぬけてヘナヘナになった状態で座り込んだ。

この時、さよこのお見合い相手の悪いウワサが近所中に拡《ひろ》まった。

さよこは、それでもお見合い相手の男性と結婚したいから結婚生活を始める準備を続けた。

しかし、新たな魔の手がすぐそこまで迫ってきた。

破砕波《つなみ》の第二波が、よりし烈な破壊力を伴って押し寄せてきた。
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