アンコール マリアージュ
 「うわー、素敵なドレス!」
 「オレンジかあ、意外だったな。でも似合ってるよ、亜希」

 新郎新婦は、友人の言葉に答えながら、笑顔で入場する。

 ここからは、ケーキカットやファーストバイト、友人のスピーチなどで忙しく、先程の上司が新郎にお酒を勧めに来る事もなかった。

 真菜はホッとしながら、お二人の楽しそうな様子に目を細める。

 やがてお開きが近付き、新婦が両親へ感謝の手紙を読む為、金屏風の前に並んだ。

 真菜はブーケを預かり、新婦には手紙と小さく折ったティッシュを、新郎にはマイクを渡してから壁際に下がる。

 スポットライトの中、新郎の差し出すマイクに向かって、新婦が手紙を読み上げた。
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