アンコール マリアージュ
「ったくもう、どんなに涙もろい新婦様だって、ここまで目を腫らした事はなかったわよ?もはや、私のメイクでも隠し切れん」

そう言って希は、ガーゼで包んだ保冷剤を真菜の両目に当てた。

「あー、気持ちいいー」

真菜は上を向いたまま、希に身を任せている。

久保はサロンに行き、真菜の顔を修復しますので、少々お待ち頂けますか?と、菊池と真に声をかけた。

仕方なく、二人はそのまま座って待つ。

菊池は自社の雑誌、ドリーム ウェディングをペラペラめくりながら、真に話しかけた。

「御社のブライダルフェアのお写真、いつも素敵ですよねー。このカップル、凄い美男美女ですけど、いつもこのモデルさんに頼んでいらっしゃるんですか?」
「そういう訳ではないです。別のモデルがやる時もありますし…」

そこまで言ってから、真は急に、あー!と声を上げて、菊池を驚かせた。
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