アンコール マリアージュ
 「いや、良くない。俺が自分を許せない。真菜の大事な夢を壊しておいて、しかもそれに気付かずにいて、更に真菜を傷つけた。だから…」

 そう言って真は、窓の外の景色を確認している。

 「ひー!だからもういいってば!それに、やり直しとか、出来ないんだからね?もう1回やったって、それはファーストじゃなく、セカンドになっちゃうんだから」
 「いや!ファーストにする」
 「ど、どうやって?」
 「だから、恋人同士になってからの初めてだ」
 「い、意味が分からないんですけど?」

 真は、もう時間がないとばかりに真菜の両肩を掴んだ。

 「真菜!俺と付き合ってくれ!」
 「ひー、ヤダー!そうやって、私が頷いたら強引にしてくるんでしょ?」
 「俺は本気だ。本気で真菜が好きなんだ。ほら、早く返事を!」
 「いやー!そんな急かすなんて、ロマンチックでもなんでもない!」
 「真菜の夢だろう?ほら、もう頂上だ。早く!」
 「分かった、分かったからー!」
 「よし、結婚しよう、真菜!」
 「はい!」

 次の瞬間、真は唇を奪うように真菜に熱くキスをした。

 真菜は、ぱちぱちと瞬きを繰り返しながら、そっと横目で外の景色を見る。

 ゆっくりと観覧車が下り始めていた。

 やがて顔を離した真も、窓の外を確認する。
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