乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
あたしの叫びは、屋上内に轟き、突然の事態に驚いた。

すると、マシンガンから撃たれた銃弾を、あたしの全身が跳ね返した。

「何!」

絶句するイハンダーを無視して、ブラックは立ち上がると、体を捻り、回し蹴りをマシンガンに叩き込んだ。

「ルナティックキック!」

光の刃がすねにでき、マシンガンを切り裂いた。

そして、そのまま後方に回転しながら、ジャンプすると、あたしを飛び越えて、イハンダーにレッグラリアットを喰らわす。

しかし、イハンダーは避けることなく、ブラックの蹴りを胸板で跳ね返した。

ぶっ飛ぶブラック。


「レッド!」

「え?」

恥ずかしさで、真っ赤になっているあたしに、ブラックは言った。

「あたしの蹴りを蹴り返せ!」

空中で反転すると、ブラックはドロップキックのように足を揃え、あたしに足の裏を向けた。

「ええええ〜い!」

あたしは戸惑いながらも、向かってくるブラックの足の裏を蹴り上げた。

「トォ!」

ブラックは、天に向かって、飛び上がった。

そこには、姿を見せたばかりの月がいた。

月と、ブラックの体が重なった時…ブラックの体が消えた。

「何!?」

見上げながら、ブラックの動きを追っていたイハンダーは、絶句した。

ブラックを見失い、焦るイハンダーは数秒後、目の前に、現れた足に、目を見開いた。

「月影キック!」

ブラックの右足が、イハンダーの胸板を貫いていた。


イハンダーは気づかなかったようだけど、

あたしは気づいていた。

満月が、三日月に一瞬変わったことを…。

「ぐは!」

イハンダーはぶっ飛んだ。

後ろに回転しながら、着地したブラックは、鼻を鳴らした。

「1人で、駄目なら、2人の力で!それが、乙女戦隊…月影だ」

キリッと睨む頃には、イハンダーは倒れ、起き上がることができなかった。

ブラックはゆっくりと、イハンダーに近づくと、

「さあ…教えて貰おうか!お前達の目的を!」

土手っ腹に、穴があいたイハンダーを見下ろした。
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