カラダダケの関係に依存していた私の話
期待なんてしていなかったから、こんなイケメンに当たるなんてびっくりだった。


鳩が豆鉄砲を食らったかのように立ち止まる私を見て


「なんか買ってくるから車の中で待っててね」


と言った。


低くて落ち着く声。


遠慮なく助手席に乗らせてもらうと、運転席にはスマホと財布。


よく見たら車の鍵まである。


不用心な人…。


その時彼が小走りで戻ってきた。


「財布忘れてっちゃった」


「それな笑
てかスマホも車の鍵も置いてくとか、私盗んじゃうよ?」


「たしかに!」


あ、笑った。かわいい。


その笑顔と共に、ほんの少しだけあった彼への警戒心が溶けていった。


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