カラダダケの関係に依存していた私の話
心臓がほんの少し高鳴ったのは、きっと驚きからではないのだろう。


私はそれに、気がつかないふりをした。


「ユキ、明日の仕事終わりも会わない?」


「いいよ」




この日から私は頻繁に彼の家に泊まった。


二人でどこかに出かけるなんてことは1度もなかった。


一緒に作ったご飯を食べ、別々にお風呂に入り、映画の途中でキスをして、同じベッドで寝る。


彼は決まって私の手を握り眠った。


それ以上は、何も進まなかった。


一緒に過ごす時間が増える度に、彼に惹かれていく自分がいた。


きっと勘違い。


心に言い聞かせる度、想いが募っていくような気がした。


気持ちを伝える勇気も傷つく勇気もない私は、恋心を知られまいと必死に隠し続けた。


そんな関係が2ヶ月ほど続いたある日、変化が訪れたのは突然だった。


その日もいつもの様に前回の映画の続きをベッドで並んで見ていた。


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