再会から始まる両片思い〜救命士の彼は彼女の心をつかまえたい〜
「あ、颯斗(はやと)からだ」

紗衣ちゃんのスマホにメッセージが届いていた。加藤くんは今日泊まり勤務だが、今は休憩中らしく、紗衣ちゃんに連絡してきたようだ。ニコニコとしながら返信していた。颯斗って呼んでるんだ、としみじみ感じつつ改めてふたりの関係が変わったと実感していた。

「のどかさんとご飯食べてるって言ったら良かったねって。自分たちも参加したかったって言ってますよ」

スマホ片手に楽しそうに話す紗衣ちゃん。

「明日のどかさんは日勤ですよね? みんなは明けだけど夜には起きるから久しぶりに飲みに行かないかって」

「え?」

「私も明日日勤なんです。病棟だから定時で上がれないかもしれないけど久しぶりにみんなで飲みましょうよ」

確かに私は明日も日勤。外来の勤務だから割とキリ良く上がれることも多い。いつまでもその患者さんに関わっていると終わらないので引き継ぐのが決まりになっている。そのため私の方が仕事が終わるのが早いだろう。

「いいですよね?」

紗衣ちゃんになかば強引に話を勧められ、了承するメッセージを送ってしまった。
久しぶりに夏目さんと会うと分かると素直に嬉しい。明日何を着ていこう、なんて悩むのも久しぶりで内心テンションが上がる。
私の気持ちが死んでしまわないよう大切にしたい。ただの友達のままでいい。それなら彼に会ったって何も悪いことはないもの。
割り切ったようにやっと考えられるようになり、ただただ会うのが楽しみになった。
< 52 / 65 >

この作品をシェア

pagetop