再会から始まる両片思い〜救命士の彼は彼女の心をつかまえたい〜
近くのカフェに入ると、正面に庭のある景色のいいカップルシートへ案内された。背もたれの高いペアのソファで、座ると沈み込みお互いの体が密着し合う。
そこでお互いの話をし始めた。
今までなんだかお互いがお互いの気持ちを探り合い、遠回りしていたのだと改めて気がついた。
彼に腰を抱かれ隙間なく密着しているこの距離感。
昨日まではこんなことが起こるなんて夢にも思わなかった。
甘いカフェオレと彼の温もりで胸がいっぱいになる。

「のどか」

呼び捨てで名前を呼ばれ、胸がドキドキする。彼を見上げると笑っていた。
私のおでこに口付けをし、そのまま頬に、口にとおりてきた。

「夏目さん」

「裕だ」

私にも名前で呼ぶようにと髪の毛を撫でながら促してくる。

「裕さん」

誰にも見られないように私たちはソファに隠れるようキスをした。
裕さんがこんなに甘いなんて思ってもみなかった。

「これからしっかりしている君の支えになりたい。のどかが俺のところでくつろげるような存在になりたい」

「私も。裕さんが私のところに帰ってきてホッとしてくれる存在になりたいです」

やっと繋がったこの想い。
口にしてみたら同じことを考えていた。
口にしなければわからないこともたくさんある。だからこそいつでも伝えあう努力を惜しまずにいたい。やっと手にした幸せが逃げてしまわないように。
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