ベッドの上であたためて
「ついていく私が言うのもおかしいけど、快楽なんてほんの一瞬なのに、奥さんとか恋人がいてもそういうコトしたがる神経ってわかりません」
「まあ、本能って言っちゃえばそれまでだけど、この辺そういう店多いから、俺もたまに男って馬鹿だなって思います。お金払ってまですることかなって」
「柳瀬さんはモテるだろうし、お金払わなくてもできるからそう思うんじゃ…」
「俺別にモテないですよ」
「そういう驕らないところもモテそうですけど」
「すごくいいイメージで見られてます?嬉しいけど、外面よく振舞ってるだけですよ」

からっと笑うその返し方はスマートだ。
客によく突っ込まれるのかもしれない。

「次、どうしますか?」
「じゃあこれと似た感じのものをお任せで頼んでもいいですか?」
「かしこまりました」

柳瀬さんは私のザックリなオーダーに返事をして酒瓶の棚に目をやり、まずはGallianoを手に取った。
冷蔵庫から何かを取り出し、いつものようにシェイカーに注ぎ、シャカシャカとシェイクし始める。

「どうぞ」

差し出されたのはソーサーのグラスに入れられたアイボリーのカクテルだ。

「いただきます」

バニラとチョコレートのような香りを感じながら一口飲むと、まろやかで濃厚な甘さが口いっぱいに広がった。
私の好みドンピシャなのは、いつも似たようなミルク系の酒ばかりオーダーしているからだろう。

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