ベッドの上であたためて
会話のないまま一緒に歩き、10分ほど先にあるホテルへと入った。
端から見ればホテルだとは気づかないかもしれない。
看板は小さいし、少し高級な洋風のアパートという感じの、1階がガレージになっているメゾネットタイプだ。
シャッターが開いているガレージに入ると、柳瀬さんは階段脇のボタンを押してシャッターを閉め、そのまま2階の部屋へと向かった。
慣れているな。
大学から近いからよく使うんだろうか。
モテそうだから当然だ。
この人だってほかの男と同じ。私とも同じ。
そう思ったら、さっきより少し気持ちが軽くなって、同時に空虚な気持ちにもなった。

< 38 / 90 >

この作品をシェア

pagetop