もう、オレのものだから〜質実剛健な警察官は、彼女を手放さない〜
「葉菜先生、そろそろ酒はやめておきましょう」

「タメ口で良いですって言ってるのに……」

「……その手に持ってる酒、貸して?」


ふふふ。敬語じゃなくなった犬飼さんに満足して、自然と笑みが溢れた。

お酒はそこまで弱くはない方だと思っていたけれど、今日は心にダメージを受けているせいか、それともかなりのハイペースで飲んでしまったせいか、回りが早い気がする。

ふわふわしていてとても眠い。今にも瞼が落ちそうだ。

犬飼さんはさすがというか何というか、同じくらい飲んでいるはずなのに顔色一つ変わらないし、私を気遣ってくれる余裕まである。

警察官たる者、武術だけでなく肝臓まで鍛えているのだろうか?

手にしていた飲みかけのビール缶を大人しく渡してそれをそのまま伝えれば、犬飼さんは代わりに私に水を渡しながらふ、と柔らかく笑った。

その初めて見る表情に、不覚にもドキッとしてしまう。

今日の犬飼さんは、随分と表情筋の活動が活発らしい。


「そんな鍛錬は積まない。警察官でも酒に強い奴もいれば弱い奴もいる。ちなみに鶴崎さんはめちゃくちゃ弱い」

「え!それは意外ですね。…あー、でも鶴崎さんならそんなところも可愛いとか言われて女子にすごいモテそう……」

「まぁ、モテているのは否定しないが」


やっぱり……。

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