人間オークション       ~100億の絆~
―麗亜side—

咲月との間にできたこの子。愛しいと思える大切な子。咲月は、きっと受け入れてくれると思っていた。思いが通じ合っていると思ったのに……

あれから咲月は私と話してくれない。私も、何て言っていいのか分からない。神無月家を出たとき以上に、今が怖い。

「う……」

そう思う間も吐き気と涙が出てくる。私はこの子を産みたい。私みたいな性格の悪い子になるかもしれないけど……咲月みたいにちょっと意地悪な子になるかもしれないけど……それでも産みたい。

且功さんが私のことを命(みこと)から聞いたと言った時、正直安心した。もう、且功さんにも咲月にも隠さなくていいんだって。みんなで支え合って育てられるんだって思った。

「大丈夫よ、大丈夫。あなたのことはちゃんと守ってあげるわ。この身に代えても…この世界を見せてあげるから。」

だから、あなたのためにも私はママになるわ。誇れるように。
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