人間オークション       ~100億の絆~
「戻ったぞ。」

「俺の出番がなかったのはいいことだったか?」
「それについては後で僕の部屋で話す。」
「収穫はあったってことかな?」

「ああ、十分すぎるほどにな。命(みこと)。」

「なに?」
「麗華さんが簡単に諦めるような人だとは到底思わない。今日から常に家の中でも常に咲月か僕といるようにしろ。買い物もしばらくは咲月だけに行ってもらう。」
「わかった。」


今の私にはわかる。且功がすごく怒っていることが。それだけ、麗華さんが危険な人物だということ。


「それなら、且功の部屋で話すよりここで話す方がいいんじゃない?」
「だけど……」

「且功、いいよ。ここで話して。」
「だがお前が……」


「且功は私が可哀そうだと思うんでしょ?もう一度、私の本当のお母さんが麗華さんで、私は棄てられた子だって言うのを。」



麗華さんの話を聞いていて分かったのは生まれてすぐに他の人に預けられて育ったこと。それは棄てられたようなもの、きっとそれは且功も思ったんだと思う。だけど、それを私に伝えたら私が傷つくと思ってるから且功は帰りの車で何も言わなかった。



「私は気にしてないよ。今の私の家族は且功と咲月さんだもん。だから、棄てられた可哀そうな子だなんて思わないで。」
「だけどお前を傷つけたくない。」

「前にも言ったでしょ?私にとってはこれが普通。その普通の理由が分かっただけ。たったそれだけだよ。」
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