人間オークション       ~100億の絆~
―且功side—

「本当にすまない。目を離した俺の責任だ。」
「いや、そもそも麗亜を外に出す許可を出した僕の責任だ。すぐに家を出る準備をしろ。これからオークションの会場へ向かう。」

「オークションってどういうことだ?」
「麗華さんが仕掛けた罠だ。僕に選ばせる気なんだ。命(みこと)と麗亜のどちらかを。そのために麗亜を誘拐した。」

「オークションって言ったって誰を……まさか、麗亜をか…?」

「ああ、相当狂ってる親だ。娘は1人でいいだなんて言っていた。麗亜の代わりに命(みこと)を差し出せと。命(みこと)を渡さないなら麗亜を競りにかけると言っていた。」
「命(みこと)を差し出すのか?」

「そんなことはしない。」
「じゃあ、どうやって?」

「オークションに参加して僕が麗亜を落札する。そうすれば事を大きくしなくて済む。とりあえずお前は命(みこと)と先に車に乗っていてくれ。」
「わかった。且功は?」

「僕は、最悪のことを想定して準備をする。今はとにかく命(みこと)の傍にいてくれ。」
「わかった。」


咲月が命(みこと)と一緒に家を出たことを確認してから急いで受話器のボタンを押す。今の僕にとっては最も使いたくない手だが藁にも縋る思いでコール音を聞く。



「もしもし……どちら様ですか?」
「如月…且功です。あなたの力を貸してください。」
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