人間オークション       ~100億の絆~
オークション会場に着くと、私のオークションの時以上の参加者がいた。でも違ったのはVIP席と呼ばれるフロアがあること。もちろん私たちはVIP席に座っている。

「命(みこと)、今回は前の時みたいに絶対に叫ぶんじゃない。これは絶対だ。麗亜の身の安全を確認し、僕たちが保護できるまでは何も話さず、僕らからも離れないことだ。」
「でもそれじゃあ私はなにもできないよ?」

「命(みこと)、且功はお前のことも守りたいんだよ。そして麗亜のことも。」

そう言って咲月さんが私の頭を撫でてくれる。且功はきっと助ける。そう信じるしかない。

「且功、信じてるから、だから必ず麗亜さんを助けて。」


「ただいまよりオークションを開催します。席についてお待ちください。」


会場が暗くなり幕が上がる。舞台の中央に座らされている麗亜さんの姿に観客の喜ぶ声が聞こえてくる。


下着が見えそうなくらい短い丈のスカートを履かされ両足を大きく開かされている麗亜さん。足は椅子の肘置きに括られている。下着が丸見えで私にだって恥ずかしい格好をさせられていることがよく分かる。

「母親が娘にさせるような格好じゃないな。悪趣味だ。こんな性的嗜好向けのオークションは。」

本当は今すぐにでも叫びたい。あの時みたいに。だけどこれ以上麗亜さんが酷いことをされるかもしれないと思うと何もできない。


「3億だ」
「ご、5億!」
「12億!」


まだなにも説明をされていないのに金額を言う参加者たち。明らかに私のオークションの時と違う興奮を煽る人たち。

「さすがは大財閥のご令嬢ですね。ですが競りは今から開始します。金額は50億から。」


司会の人の言葉に会場がざわつく。


「且功、どうする?」
「おそらく麗華さんの策だな。僕が競り落として麗亜を取り戻す手段を封じるためだ。生憎僕もせいぜい50億で済むだろうと思ってそれくらいしか用意していない。」
「それならどうするの?」


「もう少し様子を見る。」

「様子を見るって言ったって……」


「それでは最初のサービスです。」

その言葉と同時に麗亜さんが着ているドレスが真っ二つに切り裂かれた。服の隙間からは麗亜さんの胸や下着などが見え隠れする。それを見てさらに興奮する参加者たち。


「これ、かなりやばいぞ、且功。」


ステージにいる麗亜さんは身体を震わせながら涙を流している。きっと恥ずかしさと恐怖を感じているんだ。
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