人間オークション       ~100億の絆~
―且功side—
万が一に備え家を出る前にあの人に助けを願い出た。藁にも縋る最終手段。


麗亜のオークションは想像していた以上に悪趣味でいくら好意がない僕でも吐き気がする。


「続いてはこちらです。」


そう言って司会者が麗亜のドレスを脱がし始める。丸見えになった上半身を隠そうと泣き出す麗亜。こんな非人道的な性嗜好向けのオークション。興奮している参加者の気持ちなど分かりたくもないな。


「且功、このままじゃ麗亜さんが……助けなきゃ。」
「待て、命(みこと)。」

麗亜の姿を見て命(みこと)が席を立とうとする。どうにか腕をつかみ抑えるがその間も麗亜は脱がされていき参加者の男たちが興奮する声が大きくなる。


「且功、さすがにこれ以上はまずいぞ。麗亜の心に傷を残すことになる。」
「まだだ。」


あの人さえ来てくれればきっと一気にこの会場の空気は変わる。あの人さえくれば…


「且功!なにがまだなんだ?」
「……。」
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