人間オークション       ~100億の絆~
そう言うと、如月さんは私の手を握り口を開いた。

「彼の本名を言っていなかったね。彼の名前は如月且功。」
「きさ…らぎ……?」
「そう、僕と同じ如月。僕の名前は……如月且功。君を思う彼が僕だよ。」


「本当に……?」

「ああ……僕が且功だ。僕の正体を聞いて怖くないのか…?」


この人が且功さん……?私が忘れてしまっている人…?キスをした人……?


「怖い…です。だけど、ちゃんと聞きたいです。キスをしたのかどうか。」

「……それならキスをしてもいいか?今ここで。僕は言葉は得意じゃない。だから行動で示す。」


そう言われ、如月さんにキスをされた。唇が重なった瞬間、体に衝撃が走った気がした。それに気づき不安な顔をする彼。

「やっぱり、嫌だったか…?」


頭の中で今までの記憶がアルバムのように流れている気がした。私が言った言葉が……言われた言葉が1つずつ蘇るようだった。まるで記憶のパズルが埋まっていくかのように。


「もっとキスして……ください。キスをすれば思い出す。」


自分から求めるように如月さんの……且功さんの唇に自分の唇を押し付ける。最初はとまどっていた且功さんも私の思いを受け止めキスをし続けてくれている。

「命(いのち)ある限り…キスなんてしない。命(いのち)ある限り…離れない。命(いのち)ある限り…傍にいたい。」


なんだろう。この言葉が頭の中で大きく膨らんでいく。とても大切な記憶の始まり。


『これからが僕たちの本当の始まりだ。』



「私たちの始まりは貴方が笑顔を見せてくれた時。あの時の笑顔はずっと忘れてないよ、且功。」



そうだ、この言葉は…この誓いはあの時、初めて且功に会ったときに私が言ったこと。そして且功のことを知っていって向き合えた時見ることができた且功の子供のような可愛い笑顔。



「思い…だしたのか…?」
「うん……且功、大好きだよ!」


泣きそうな顔をする且功。可愛くて、離れたくない。ずっと傍で一緒に生きていきたい。


「命(みこと)、僕はここで今誓う。僕たちは大切な家族だ。だけどただの家族じゃない。生涯かけて命を愛しぬく。永遠の誓い。」


何度もキスをして今日の日を互いに胸に刻んだ。



『家族で恋人。大切な人。』
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