敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「ほう。拝見します」
中指で眼鏡を押し上げた父が、隆多さんに差し出された書類に目を通す。
隆多さんに緊張した様子はないので、計画案によほど自信があるのだろう。
個人的な和解を叶えるだけでなく、もう一度企業同士手を取り合う機会を与えてくれた隆多さんの手腕に感心した。
お互いの父親と隆多さんとで仕事の話が始まったところで、私は妙さんに話を聞きたくなり、部屋を見回して彼女の姿を探す。
しかし、家政婦は泉美さんの姿しか見当たらない。
「泉美さん、妙さんは……?」
動画を再生している時は泉美さんの隣に立っていたはずなので、変わらずそこにいる泉美さんに聞いてみる。
「心配いらないと思いますよ。さっきキッチンを覗いたら、『五十過ぎのおばさんが照れているところなんてみないでちょうだい!』って追い出されたので」
「照れてるってことは、トーレスさんの言葉、喜んでいた?」
「ええ。隣で見ていましたが、途中から真っ赤になって、我慢できずにキッチンに逃げ込んだという感じです」
妙さん、かわいい……!
年上の女性に失礼かもしれないが、思わず口もとが緩んだ。