貴女は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
BBの実家のビグロー商会は、まあ規模は全然違うけれど、商売敵と言っていい存在なので。
そこの娘がハニートラップ仕掛けてくるなんてな。
調べて怪しかったら、ビグローを潰すか……

幸いなことにビグローとはクラスが離れたが、クロエ様の校内案内は一緒に受けることになった。
ところがビグローは、約束の時間にやって来ない。
校内案内は最初の1週間の昼休みのみ、なのにな。


「時間もありませんし、ビグローさん無しで私とふたりですが、よろしいでしょうか?」

「勿論です!」

クロエ様と、1対1で。
案内してもらえるなんて全然いいんだけど……
だが、並んで歩き出した俺達に混ざってくる奴等が居る。


「クロエ、校内案内してるの?
 お疲れ様、私も手が空いているから一緒に」

なんて言いながら合流してくるリシャール殿下と側近と護衛の3名。


「ブリュロワールだったね、私もいいかな?」

「勿論です!」

「君のところの商会で、クロエはドレスを仕立てるんだってね?
 出来映えが見事なら、王妃陛下や王女にも推薦するからね。
 心して製作に当たるようにね?」


これは一種の圧……牽制されてるな。
こっちは平民だからな?
王太子殿下の婚約者の侯爵令嬢に、横恋慕なんてするわけ……
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