フユノサクラー真冬の夜、恋の桜が舞ったー

第6章/知恵と友情と反発

=知恵と友情と反発と①=



この朝、誠和東中学校の職員会では、早速、教頭から"昨日の出来事"に対する申し合わせがあった


「…その3年女子は、親が不動産業ということで仙川久珠子の自宅が競売にかかっている件を家で耳にして、つい学校内で口外してしまったうようですな。まあ、本人は反省もしており、特段悪意もないと言っておりますので…」


“2Aの仙川さんなら、確か例の雑食7人組だったわね。もし、そういう事情ならおうちを出ることになるのかしら…。すぐに引越しとかでも学区内なら今の課題、最後まで一緒にできると思うけど…。あのグループには是非、全員で報告会を迎えさせたいわ”



***



「…仙川久珠子には昨日中に、担任の新山先生から事情説明して頂き、本人と両親からの理解と了解を取り付けてあります。今日は本人も登校すると言っておったそうです。…ついては、諸先生方におかれましては、生徒への伝達は必要最小限に留め、あらぬ動揺を生じさせないよう、くれぐれも…」


“この手の事案対処って、どこの学校も同じなのね…。表面上を繕って、とにかく波風立たせないことを最優先よ。結果、教育現場の私たちが一番に守るべきものを置き去りにしている気がする…“


ナナボシ先生は朝から、そのデッカイ胸の内で、そう嘆かざるを得なかった


”今日の昼休みには、折原さんにボイス・レコーダーのデータを返すことになってるから…。仙川さんのことも心配だし、それとなく触れてみるわ…”



***



この朝、2A雑食系グループ7人のナカマたちは痛感した


7人全員が揃った時の、いっぱい感…


一人欠けただけでも味わえないそれ…


だからこそ、大事なのは全員でやり遂げること


7人が最後まで揃って


すなわち、それって…


雑食系グループ5回の討論会、そしてその成果報告…


そして仲間達は、”それ”を誓った






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