Rhapsody in Love 〜二人の休日〜


すると、古庄は助手席の窓をドンドンドンと叩き、遠慮なくみのりを起こした。

ほどなく、みのりが寝ぼけ眼で車から降りてくると、古庄が呆れたように言う。


「ねえさん、生徒に運転させて自分は寝てるって、いい気なもんだな」

「……え?生徒?」


みのりは目を点にして首を傾げる。そして古庄が、そこに立っている遼太郎のことを言っているのだと分かって、にっこりと笑顔になって遼太郎を見た。


「生徒じゃなくて、彼氏だよ」

「え、彼氏?!」


古庄が驚くのと同時に、遼太郎の心臓も跳ね上がった。


「言っとくけど、遼ちゃんが卒業してから付き合ってるんだからね」


驚いた顔のまま、古庄はもう一度遼太郎へと視線を移す。そこで、いろいろと妄想を膨らませつつある古庄に、みのりは釘を刺した。


「もう一つ言っとくけど、遼ちゃんは、あなたの顔にのぼせて簡単に『好きです』なんて言い寄ってくる女子生徒とは、根本的に違うからね」


一年中、生徒から告白されている古庄は、〝生徒との恋愛〟にかなり警戒していた。いくら生徒の方が熱烈に想っていても、思わせぶりな態度をとっただけでも誤解され、〝教師の方が手を出した〟ように言われてしまう。

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