素敵後輩の隠し事



バットを持った城内君と階段を上っていると、守山さんとすれ違った。

守山さんは爽やかに言う。


「淳が金属バット持っていると不吉だね」


城内君はもはやそれに応えることもせず、ハイハイと言って通り過ぎる。


「里緒ちゃん。ソフトボール大会は、容赦しないからね」


もはやからかわれているとしか思えない私は、城内君にぼやいていた。


「守山さんには負けたくないよ」



城内君は笑顔で私を見て、頭をぽんぽんと撫でてくれる。

私、先輩と思われていないな。

それに、こうも胸がきゅんきゅんいって止まない。

城内君は笑顔だが、どことなく疲れているように見えて、胸がときめきながらもぎゅっと痛んだ。


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