素敵後輩の隠し事
後輩に失恋したかもしれない





仕事を終えて帰ろうとした時、困った顔の城内君が私に話しかけた。


「今日は用事があって……智樹に矢田さんをお願いしています」


「いいよ、一人で帰れるって!」


なんて言いながらもずきんとした。

城内君は本当に私に興味がないのだろう。

そうでなきゃ、私を狙っているという守山さんにお願いするはずがないから。



「駄目ですよ。

この前も悪い人に絡まれてたでしょ?」


「じゃあ、私が城内君に出来ることはない?」


思わず聞いていた。

私は城内君にお世話されてばかりだから、何か役にたちたいとずっと思っている。

それなのに城内君は、

「一緒にいてくれるだけでいいですよ」

これまた紳士な言葉を吐く。

そしてその言葉に、やっぱり胸がきゅんきゅんうるさい。

一緒にいたい、それは私の願いでもある。

叶わない恋なのに、思わせぶりな言葉はやめてほしい。


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