神様、僕に妹を下さい

Act.130 サイド晶(あきら)

 「私は、まだ・・した事ないです」
 キスなんて、本当に・・

 「ふうん。まっいいんじゃねえの。お前はお前で」

 「え?」
 
 「どうせ、周りに何か言われたんだろ。あいつら自分の事は触れられたくないくせに、人の恋路には顔をはさんでくるからな。気にしても切がない」
 桜場は私が外野の影響で、こんな質問をして来たのだと思って心配してくれているみたい

 いい奴だなぁ

 「桜場といると落ち着くよ」
 昨日、見たことが嘘のようだ
 朝には蕁麻疹も大分落ち着いていたし、身体の熱も下がってきていた

 「俺はお前といると、飽きない。次々と話題も豊富だしな」

 「ちょっとそれ、どういう意味」
 ぷくっと頬を膨らますと、桜場の手が伸びてきて、私の頬をつまんだ

 「こーゆー事だよ。お前、女っていう自覚あるわけ?あったら顔に痣をつくるようなケンカはしないだろ」

 「やっちゃたものは仕方ないでしょ」
 お互い肘でつつき合いながら笑い合っていると、頭の上から白くて細長い物がひらひらと落ちて来た

 「わ・わっ。にょろろが落ちて来た」
 
 「バーカ。ティッシュだろ。誰がこんなの落とす奴!」
 上を見上げると、それは風に乗って次から次へと降って来た

 「わぁ、きれい」
 パチパチと拍手をする私の横で、桜場は落ちてくるティッシュを空中で掴んでいる

 「お前なぁ、状況を見ろよ。これが落ちた庭を掃除するのは誰なんだよ」

 「あ・・」
 私達じゃない。掃除はもうほとんど終わりかけてるのに、これじゃぁ最初からやり直しになってしまう
 
 「誰がこんな・・」
 風の流れている方向を目線でたどって行くと、それは2階の部屋の窓へと続いていた
 白いカーテンが邪魔をして、やっている人の顔が見えない。首をかがけがなら覗き込もうとすると、もう1人窓際に寄って来る姿があった

 ドクン
 
 な・・に?
 急に心臓が高鳴りだし、腕に湿疹が現れた

 「さく、桜場!」
 桜場の背中に急いで隠れた

 シルエットだけで分かる。あれは、皇兄だ

 「おい、どうしたんだ?」

 「お願い。黙って隠れさせて」
 桜場のシャツを掴みながら、目を閉じる

 ドクン、ドクン。自分の心臓の音がうるさい
 どうして、せっかく治まったハズなのに、どうして反応してしまうの?私の身体
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