やがて飛行機は、まだ暑さの残る10月の沖縄の地へ。



私とリュウくんにとって、約一年ぶりの沖縄だ。



空港の自動ドアを抜けると心地良い風が吹いていて、あのときと同じ、青い空に青い海が出迎えてくれた。



彼とのデートや旅行は、いつも晴天だ。



どうやらよほどの晴れ男らしい。







今回の旅は、言いだしっぺの木下さんが、すべてを手配してくれた。



「まず宿に荷物を置きに行こう」



と向かったのは、国際通りから歩いて行ける距離の一軒家。



優しそうな老夫婦が、自宅の一部を宿として管理していた。



とても広くて、沖縄らしい造りの家。



ずいぶん古そうだけれど手入れが行き届いていて、私はひと目で気に入った。



「短い間ですけど、お世話になります」



と挨拶をすると、老夫婦はしわくちゃの顔をさらにしわくちゃにして、うれしそうに迎え入れてくれた。



今日から二泊、ここで過ごす。



部屋は和室で、縁側に面しているので陽が差し込んで明るい。



6人分の布団を並べても、きっと余裕があるだろうと思われるほどの広さだった。





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