レストランに行けなかったことにがっかりした、というわけではない。



退院したらまた予約して、行けばいいだけだもの。



それよりも、事故によって楽しいはずの時間を奪われ、彼が痛い思いをしている、というのがつらかった。



明日には、いつものやさしくて低い声で、



「ミオ、心配かけでごめんなー」



と、のんびり笑ってくれるだろうか。



私は、眉間にシワを寄せた彼の寝顔を思い浮かべて、ため息をつきながら、お義母さんに電話した。










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