あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした

眠り姫 優星side


幸希先輩が飛び降りたあの日からもう2週間が過ぎた。
「幸希先輩…早く目を覚ましてください……」
毎日僕は幸希先輩の病室まで来てはそう呟いていた。
あの日から一度も目を覚まさず、ずっと眠り続けている幸希先輩。
医者が言うには。
『目を覚ましたくないという強い意志が働いて居るのかもしれません』
そう言っていた。
その言葉には心当たりしかなかった。
目が覚めれば嫌でもまた日常に戻らなければならない。
そう思っているからだろう。
でもね、幸希先輩。
もう変わってきてるんだよ?
『優星くん、君のお陰で全てわかったよ。ありがとう』
幸希先輩のお父さん…黎智さんが全部片付けてくれたんだよ?
「君に暴力暴言を振りかざしていたお母さんはもういない。クラスメイトだって学校を辞めさせられたんだよ?」
幸希先輩のお父さん…黎智さんはすごい。
本当にすごいよ。
これが綾野ホールディングス綾野黎智さんの力なのかな?
幸希先輩もそのうちそうなるのかな?
幸希先輩のお母さんは黎智さんと離婚し、高額な慰謝料を幸希先輩のお母さん…奏(かな)さんに請求したそうだ。
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