あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
幸希ってあやの先輩のことだよな?
「えっと、どうしてですか?」
僕は質問に質問を返すと堀北栄知はコップの淵をスっと指でなぞる。
妙に色気を感じてしまった。
イケメンは罪だ…っ。
「俺は幸希のことが好きだ。でも幸希は俺のことを好きじゃないんだ。…小さい頃からね」
小さい頃からって…2人はそんなに前から知り合いだったのか?
小さい頃のあやの先輩を知っているということか!
なんて羨ましいんだ…っ!!
「まあ幸希のことを好きな金持ちは俺だけじゃないよ」
「え?それって…」
「幸希は人気者でモテるからね。俺が婚約希望者が多い幸希と婚約できたのは社長どうしが会社のために婚約しただけの言わば政略結婚だからね」
お互いが望んでしたものではなかったのか。
でも…堀北栄知はあやの先輩のことを……。
「それで君は…幸希のことを好きなのかい?もちろん一人の女性としてね」
さっきまで笑っていたのが嘘みたいに堀北栄知から笑顔がスっと消えた。
< 69 / 179 >

この作品をシェア

pagetop