あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
と彼女はサラッとそう言った。
さすがに10万も渡すわけないだろ。
だから信じなかった。
でももし…もしも……本当なら…。
「本当に10万…くれるのか?」
学校終わりの放課後なんてせいぜい4、5時間程度しかないのにたったそれだけで10万も貰えるのだろうか?
僕は彼女の目を真っ直ぐに見つめた。
彼女はゆっくりと腰を下ろして僕と目線を合わせた。
「うん、いいよ。君が私と遊んでくれるならね」
ニコッとまた彼女は微笑んだ。
「払わなかったらその時点で話はなしだからな」
「うん、わかった!遊びに使うお金も私が払うから安心してねー。あ、あと!解散の時にお金渡すから」
彼女はそう言うと羽織っていたカーディガンを僕にかけてくれた。
そのカーディガンはとても温かくて、いい匂いがした。
「今は6月だけどさすがに雨に長時間あたると寒くなるよ。傘も貸してあげる」
そう言うと彼女は僕に傘を差し出した。
咄嗟のことで思わず受け取ってしまったが彼女のカーディガンも傘も渡されたら彼女が冷えてしまう。
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