全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
「迷惑だったかしら」

「……え?」

「私、突っ走り過ぎちゃったかしら。サイラスも一緒に喜んでくれると思ったんだけど……」

 サイラスの戸惑い顔を見ていたら、自分が見当違いのことをしているのではないかと不安になってきた。

 サイラスは私に好きだと言ってくれたけれど、公爵令嬢と結婚する面倒を乗り越えてまで一緒になりたいとは思ってないのかもしれない。だとしたら、一人で浮かれていた私は馬鹿みたいだ。

 落ち込みそうになったところで、慌てて頭を振る。

 別にそれでも構わないじゃないか。

 今回の人生は私がどうしたいとかではなくて、サイラスのために使うと決めたのだ。

 サイラスが幸せになってくれるなら、どんな未来でも構わない。サイラスは私のことなんて気にせず、自由に生きていいのだ。

 悲しい気持ちを振り払うようになんとか笑顔を作る。

 すると、突然腕を引かれて抱き寄せられた。
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