全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします

番外編2.理想

久しぶりに更新しました!
主人公がまだジャレッド王子の婚約者だった頃の番外編です。


◆◇◆

 私はお部屋で一人悩んでいた。

 婚約者であるジャレッド様に、どうも好かれている気がしないのだ。

 私が話しかけてもお出かけに誘っても、プレゼントを渡しても、何をしても反応が薄い。一応は笑顔を返してくれるのだけれど、どうも作り笑顔にしか見えない。

 以前、一生懸命刺繍したハンカチをメイドに捨てさせようとしたのを知ってしまったのも、彼を信用できない理由に大きく関わっていると思う。


「婚約者って、もっと優しくしてくれるものじゃないの……?」

 私は机に突っ伏して、外では決して漏らせない愚痴をこぼす。

 婚約者っていうのはもっと、私を一番に考えてくれるものなのではないのだろうか。

 私の言葉一つ一つを真剣に聞いて、いつでもそばにいてくれて、プレゼントなんて渡したらすごく喜んでくれるような。
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