冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
「そろそろ、ここまでにするか。」
俺は仕事をキリの良いところで目処をつけ
机を片付ける。

「良かったら今夜飲みにでも行きませんか?」
真壁も片付けながら俺を誘って来るが、

「すまないが、香世の所に寄って帰るからしばらくは無理だな。」
そう告げて軍服を着て執務室を出る。

「せめて下までご一緒させてください。」
真壁が急いでついて来る。

「気を遣わなくてもいいぞ。
俺は別に落ち込んでも無ければ、憤りを感じている訳でも無い。
ただ、真実を受け入れてその運命に身を置いているだけだ。」
階段を駆け下りながら話して聞かせる。

「自分にも何かお手伝い出来る事がありませんか?」

真壁がすかさずそう言って来るから、
「何があったら言うから心配するな。」

と伝え、安心させるように真壁の肩をポンと叩き玄関で別れる。
< 201 / 279 >

この作品をシェア

pagetop