悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる
それまで王太子の隣で、王太子とステファニーの言い合いを困惑しながら見つめていたマリアは、急に自分の名を告げられたことに驚きを隠せない。
王太子は笑顔でこちらを見ているが、どう反応するのが正解なのか判断つきかねる。
固まって動けないマリアの前で、王太子テオドロスは跪き、マリアの手を取った。
「私の妃になって欲しい。」

心臓が飛び出してきそうなほど拍動している。ただ、これまで会ってきた王太子テオドロスの事をマリアは信用できると思った。何よりもマリアはテオドロスの事が好きなのだ。初めて会ったときからずっと、心に温かさを与えてくれたのは彼だ。

「グロリス家はあなたの従弟に継がせれば良い。まだ幼いようだがこちらでも教育に手を貸そう。どうだろうか、伯爵。」
グロリス伯爵はしてやられたと思うが、嬉しそうなマリアを見ると否定はできない。
「ありがたくお受けいたします。」
と、伯爵が応える事で、王太子テオドロスの妃選びは落着となった。
< 51 / 62 >

この作品をシェア

pagetop