【中】今さら、付き合いたいなんて。
「あぁ、そういえばあったかも? 買ってくんの?」


「おう、行ってくるわ。叶希も来るか?」


「あたし財布置いてきたからいいや。ここキープしとく」


「ハハッ、んじゃ頼むわ。センコーに見つかんないようにな」




芹香はそう言うと、フェンスをガシッと掴んでよじ登っていきます。

そこそこ高いフェンスを越えて向こう側に着地した芹香を、手を振って見送ると、私は近くの壁にもたれて空を見上げました。


さわさわと風に揺れる木の葉の隙間から、澄み渡った青空が見えます。

卒業式の時と同じです。


あの時を思い出しても泣かずに済むようになったのは、八雲くんと再会できたから。

そう思うと、やっぱり“よかった”という気持ちが大きくなります。


姿が変わっても、そばにいられるだけで。
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