きみとぼく(短編集)
スカート

入学式がある日だった。

その日は風が強くて、桜の花びらが勢いよく風に乗って道に落ちていたのを覚えている。
そこに、きみがいたんだ。
綺麗な茶髪で、髪が揺れていたのをよく覚えている。
僕はきみの目を見た。
その時、きみに恋してしまったんだ。
きみは無表情で、きれいな目をしていた。

「田中、生きてるか。」
入学式から一年後、きみとはすぐに打ち解けられた。
まさかこんなすぐに仲良くなれるとは、と思ったが同じ趣味を持つ人間、つまり同士なので理解はできる。
きみは入学式よりも色んな表情を見せてくれるようになった。
でも、その恋は叶わなかった。
きみには彼氏がいたんだ。
さぞかし素敵な彼氏なんだろうな、と思ってしまうぼくがいる。
だけど、きみの笑顔を見れるならいいと思ってしまった。
ぼくはいくじなしだ。

卒業式、きみは僕と写真を取ったあと彼氏のところに行ってしまった。
いいんだ。ぼくはこれで。
スカートの裾が桜吹雪に揺られてる。
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