きみとぼく(短編集)
おまんじゅう

きみは可愛いものが好きだ。
「えっ、くれるの。ありがとう。」
この前だって、うさぎのおまんじゅうをあげたらとても喜んでたね。
きみの喜ぶ顔は宇宙で一番好きだ。
なのに

ある日、きみは泣きながら会議室から出てきた。
原因はすぐにわかった。
ぼくは後ろから出てきた女子たちのリーダーを殴った。
何回も、何回も。

きみの笑顔がすごく好きだよ。
だから、しあわせになってほしいから。
「ごめんね。」

日記帳を閉じた。
高校生の頃の話だ。
あのあと、ぼくは学校をやめて父親の出張について行き、海外で高校生活をもう一度やり直した。
うさぎのおまんじゅうを頬張りながら、スマホを見る。
「遊びに行こう、か。」
今日は日本は卒業式の日なので、ぼくは帰国していた。
目的はもちろん、わかるよね。
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