推し一筋なので彼氏はいりません
「愛衣行かないの?再来週の試合。さっき誘われてたじゃん。」
「そうだけど、来れそうだったらでいいって言われたし。」
「再来週の土曜日の予定は?」
「特にないです。」
「じゃあ行こうよ。
私も暇なら行こうかなって思ってたし一緒に。」
「まあ菜々春もいるなら……。」
部活の応援とか行ったことないけど、きっとキャッキャウフフしてるような女の子がいっぱい居るんだ……。
その場に馴染める気がしない。
でも行ったってことが大事だよね。
途中で帰ったらダメってことはないだろうし。
「佐山先輩のファンも大勢いると思うから、きっと愛衣は注目の的だね。」
「え、それは嫌だ……。」
次こそ一発くらい殴られるんだろうか。
「行くのやめようかな。」
「だーいじょうぶだって。
先輩の前でなにかする人はいないだろうし、私も一緒にいるから。」
「そうだといいけど。」
そこまでして行かないといけないかな。
けど誘われた手前、先輩もコラボカフェに付き合ってくれたし、ちょっと観に行くくらいした方がいいよね。
「ちなみに先輩のファンの中には、一緒のクラスになりたくて中学の頃からすごく勉強して特進科に入った子もいるらしいよ。」
「すごい……。
けど確かに東大入れば遥斗くんに会えますよって言われたら私も死ぬほど勉強すると思う。」
「次元が違うからどう頑張っても会えませんよ。」
「そうなんだよね。だからお金積んでより長く遥斗くんの日常を見せてもらうしかない。
でもそっか。推し活って意味では、佐山先輩のファンの気持ちはよくわかるし仲良くなれるかもしれない。」
「いや推しって言うより、ガチ恋って人もいるでしょうけどね。」
「え、やっぱり怖い。
好きになるのは悪くないことだけど、恋敵だと認識されたら絶対仲良くはできないよね。」
平和にいきたい……。